頂上で御来光という予定で夜半から登りはじめ午前4時15分頃に8合目を過ぎた辺りで夜明。雲海に日が差し込む様子は普段の生活では見ることの出来ない風景です。
林望さんは「英国には富士がない」という表現で彼我の風景観の違いを説明しています。

林さんによれば、日本では、「絵葉書のような名勝」とそれ以外の「どうでもよい見るに値しない場所」とに分けて風景を見るのだという。それに対して英国には名勝などはなく、なんでもない牧草地や村々や丘や海岸線や荒地があるだけなのだけれど、そのなんでもない風景こそが英国民の見る美しい風景なのだという。
富士の夜明けは、林さんの言われる「なんでもない 風景」の範疇には入らないが「絵葉書のような名勝」とも違う、よい日本の風景だと思います。

vol.1
No.1  富士