欧州の文明圏はラテン系地中海文明とゲルマン系北方文化圏の二つの流れがあるとの見方がありますが、この二つがひとつの施設となっている面白い例がパリ市内にあります。 「マルテの手記」に出てくる、中世ブルゴーニュのタペストリー「貴婦人と一角獣」が展示されているクリュニー美術館。この工芸作品を見にパリ市内の学生街サンジェルマンに行ってみると、中世のイメージとは全く異なる古代ローマ浴場の遺跡を目の当たりにし驚かされます。2000年前の煉瓦の構造物は元の輪郭も定かでなく苔むしてほとんど土に還ろうとしているようです。
地中海の光は明るく、北方の光はか細く暗いという観念を持ってい見るせいか、北国の暗い空のもとでは地中海古代文明の形見も違和感がありましたが、 この古代の浴場の内部にはいると、思いがけず明るい光が差し込んでおり、新鮮なひかりを体験することが出来ます。
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No.2  クリュニー