ピクチャレスク建築の試み
世田谷区内の私鉄の駅から徒歩3分ほどの住宅街にある
テラスハウス です
ピクチャレスクな効果を考えた特徴的な出窓や玄関ポーチをもつ道路面の外観
建て主はイギリスでの生活の経験でバラの栽培を趣味にされており
街路に面した部分に見事なバラをアーチ状に絡ませている
この建物は特定の様式をもとにしたものではありませんが、
18世紀のイギリスに発し、日本でも大正期の郊外住宅に見られた
ピクチャレスクな住宅を現代的に翻案してデザインしました
壁をくりぬいたようなアーチ型のポーチが特徴的な玄関
ドアの小窓にはステンドグラスがはめ込まれ
どことなくノスタルジックな雰囲気を漂わせています
連続した出窓とバラの花が街並に語りかけるようなファサード
ビクトリア朝時代の住宅(三つの破風の家1881/フォースター邸1891)
ゴシックリバイバル・チューダー朝風などを折衷し
窓に特徴のある「ピクチャレスク」なシルエットを見せるその当時の住宅
「ピクチャレスク」とは絵画的なという意味ですが、18世紀後半頃からのイギリスでは
もう少し審美的な色合いの濃い意味に使われるようになっていました。
山本拙郎の住宅入口スケッチ(1923)
大正期の日本にも存在した「ピクチャレスク」な効果をもった開口部の住宅
大正期の建築好きの文人佐藤春夫の自邸
文化学院の創設者西村伊作の設計
大正期の香りのする外観
陰影のあるポーチと白い壁の対比
イニシャルの入った面格子
コンパクトな玄関
階段がそのまま飾り棚になっている玄関
硝子手摺による階段
階段を上り2階にいたるとノスタルジックな雰囲気から
除々にモダンな空間に移行していきます。
2階にある居間は屋根型を生かした
高く変化にとんだ天井を特徴としています。
壁・天井・建具ともペンキ仕上げ
抑えた色調が照明の効果を浮き立たせる
寄せ棟の屋根型をもとにした折り紙のような形態の勾配天井
図面からはイメージしにくい螺旋状に高くなっていく天井構成
イギリス生活時の家具などで落着いた場になっているダイニング
賃貸にしている住戸の階段室 壁天井は白い塗装仕上げで各住戸共通です
奥まったところにある住戸の玄関ドアには
この住宅のためにデザインしたステンドグラスをはめ込んでいます
玄関ホールのつきあたりにある明かり取りの開口部にも
同様のステンドグラスを使用しています
白熱灯照明器具主体の居間・食堂の夜景
夫人のピアノ演奏のために防音に配慮した居間
ピアノ設置部分は床を一段下げコンクリート直仕上げとし、
他の床や壁と縁を切って取り合い部分は緩衝材を挿入
天井は石膏ボード二重貼の上吸音板貼などとしています
統一されたトーンの家具調度のダイニング
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