「さいたま新都心」は地上2階位の高さにつくられた人工地盤がとても気持の良い歩行者用のプロムナードになっています。通路は折れたり曲がったりしながら、至る所に豊富な緑が配置され、一日中ここのベンチでのんびりしたいと思うほど。しかし日曜日だというのに人影がほとんど見られません。なんだか「街の神秘と憂愁」という超現実派キリコの絵を思い出させます。
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ここさいたま新都心には中央官庁の地方移転のため17の庁舎が建っています。それ以外に郵便局や簡保の施設やコンベンションセンターなどの建物がありますが、余裕の空間をたっぷりとり趣味の良いディテールと緑地をちりばめた凝った建物になっています。密度の高さでは都庁以上でしょう。しかし気になるのは建築費の高さ。公表されている工費を床面積で割った坪単価で170万から200万円、総額1兆円という費用を誰が負担していくのでしょうか。 |
国税を投入し郵便貯金も投入し地方債をつぎこんで一大プロジェクトは成立したのでしょう。が、結局そのお金は国の借金になっていきます。しかも新都心の建物からは収益はあがってきません。その上毎年巨額の維持費用が掛ります。日本国債の格付が引下げられたのは、この新都心のような借金を重ねた結果だと思われます。まだ工事中のところもある、人影のない超現実絵画のような風景をながめていると、未来に対する不安がふくらんでいきます。
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