現代史は「テロ前」「テロ後」に分けて語られるようになるにちがいない。それほど大きなインパクトがあります。20世紀の末にアメリカでは「ニューエコノミー」という、景気循環を否定し好景気永続の理論が信じられていました。しかし地上においては永遠ということはないのだという地点にもう一回舞い戻って来たようです。 |
数年前にイギリスのヒットチャートでポーランド現代音楽のグレツキ「悲歌のシンフォニー」が1位になりましたが、その頃ドイツでは同じような傾向の音楽としてペルトの音楽が受け入れられていました。テロ後、犠牲者への追悼や戦争回避のため、広い範囲の祈りの音楽が奏されています。このペルトの音楽も現代の祈りの音楽の一つでしょう。 |
ペルトの合唱曲(「テ・デウム」「マニフィカト」)は、静かな曲なのに強烈な印象を与えます。風に共振して音を出すウィンドハープの低い持続音にのって、ビブラートの少ない透明な声が素直に耳に沁みてくる。コンサートの後も身体の中に純な響きがいつまでも共鳴していました。2000.9.30.カリユステ指揮エストニアフィル合唱団/タケミツメモリアル1階15列11。 |
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