神田川が隅田川に流れ込む辺り、川幅にすれば20mくらいのこの場所は柳橋界隈。川面に釣り舟や屋形船が舫っていて両岸は柳並木と船宿がならんでいます。。川幅や川面までの高低差など、諸々の寸法が現代の車社会と違うもっと親密なスケール感をもっていて、居心地の良い小空間になっています。
|
この地域はかつては花柳界として栄えた街。赤坂、新橋に客をとられ2年程前に最後の芸妓さんが引退し、もうその世界で生きていく人はいなくなってしまったようです。しかし夜になり柳橋のたもとの舟宿に灯りがともって、水面にその橙色の灯火が反映するのを見れば華やかなりし頃の面影を感じ取ることが出来ます。
|
江戸情緒のあふれる親密なこの場所にはかつて柳橋という橋が懸かっていた訳ですが、昭和初期になって鉄製のアーチ型の橋に附け替えられています。「牛刀で鶏をさばく」感のある、この空間に不似合いの重厚な構えの橋で、出来たときには近所の人も吃驚したことでしょう。しかし平成の現在ともなるとリベット打ちのこの橋も郷愁の対象となってくるようです。
|
 |