駅舎の顔には3種類あるように思います。顔のある駅、顔が思い出せない駅、駅舎のない駅
。それぞれ例えば、東京駅、新幹線の駅、地下鉄の駅。話題の京都駅が1番目か2番目かは難しいところですが、渋谷の駅は3番目でしょう。しかし百貨店のカーブした壁面から地下鉄が出てくるところなど仲々魅力的で、半世紀以上昔の建物なのだけれど個性のあるいい顔をしていたのだなと思います。
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今までの渋谷駅は単なる通路の集合体でしたが「マークシティ」が出来て随分変わりました。明治通りの上に幅も高さも広い大空間のコンコースができました。今までは立ち止まることなどなかったのに、若い女性同士で写真を撮ったり、外を眺めたりしています。そして眺める先はといえば、スターバックスの入っている「Qフロント」
方向。この喫茶店の売上が同チェーンのなかで一気に世界一になったというのもうなづけます。 |
開放感のある明治通り上のコンコースのエスカレータや斜路を回遊して、地上3階にある地下鉄銀座線の改札まで来るとタイムスリップしたような感覚にとらわれます。コンクリートに直接ペンキを塗った天井、人造石の壁、御影の階段床。半世紀の星霜を経てくすんだ空間には沈んだ気分が漂っているようですが、2階まで降りてくると高い天井にむしろ古き良き懐かしさがあり救われます。
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