深更窓の外から艶のあるほととぎすの鳴声が聞こえてくる。それを聴くとその瞬間、夜の暗さが俄然意味深いものに思えてくるから不思議です。日本人は春秋冬を「雪月花」で代表させてきましたが、それでは夏の季節感はなんだったんだろう?蝉時雨かそれとも螢か・・・なんとそれは時鳥(ほととぎす)の鳴声だった。「雪月花」が視覚イメージなのに対して「時鳥」は聴覚に訴える。 |
夜のほととぎすの鳴声は艶と鋭さがあり、それはフランスのセーヌ左岸のシャンソン歌手バルバラの声を連想させます。彼女は「黒い太陽」「黒いワシ」など「黒」「夜」が頻出する自作自演歌手。そのなかに「夜の輝き」という官能的な歌詞の曲があり彼女の歌声が黒燿石のような透明感のある輝きを放っていて魅了されます。 |
「仕事ができる人・できない人」という本が売れています。この本の中では「どんなことにも口を出し、10のことを12くらいに大袈裟に言う人」が「できる人」とされています。こんな饒舌な現代からみるとサン・テグジュペリの小説「夜間飛行」は別の天体の物語。ロマネスクな題名からは想像できないような寡黙で毅然とした人間の記録に感銘をうけます。 |
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