地下鉄九段下駅を出たお堀の脇にこの施設はあります。江戸東京博物館と同じ建築家の設計で、やはり同じように4本足で立つ格好の建物です。金属パネルの足の間からは古色蒼然たる折衷様式建築の旧軍人会館(九段会館)が見えピカピカの昭和館と面白い対照をつくりだしています。 |
昭和館は「昭和10年から30年ころまでの国民のくらしを伝える」ために厚生省が後援して出来た施設で、九段会館、武道館、靖国神社、と戦争と結びつきそうな建物に囲まれて建っています。そしてこの建物自身も、縦に筋目の入った金属パネルを身にまとう鎧のような風情で、ものものしく見えます。この場所の特殊な意味を意識したデザインなのでしょう。 |
戦地から妻や子供にあてた葉書が展示されています。「自分はいたって元気で、当地は気候も好くバナナが食べ放題で君たちも連れて来たいぐらいだ」などと一見のんきな観光気分をにじませて、それがカラ元気であることが分かるだけに辛くなります。当時の生活再現の展示を見ると、緊迫感の伝わってくる昭和10年代後半にくらべて、昭和10年代前半は家庭の暖かみが感じられます。
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