BackNumber p.1 / p.2 / p.3 / p.4 / p.5 / p.6 / p.7/ p.8 / p.9 / p.10 / p.11 / p.12 / p.13 / p.14 / p.15 / p.16 / p.17

         / p.18 / p.19 / p.20 / p21 / p22 / p.23 / p.24 / p.25 / p.26 / p.27 / p.28

p.15
2001/3/25 自然体と集中心 2001/4/1 楽器と演奏家の放つ「気」 2001/4/8 演奏家が視野から消える瞬間
高樹のぶ子の「百年の預言」のモデルとなった天満敦子の無伴奏バイオリン演奏会。演奏家が曲に没入してくると曲にあわせて身体を動かすのは、ロックだけでなく古典音楽のコンサートでもよく見られるのですが、この演奏家は違う。直立不動と言ってもいい位に動きが少ない。でも筋肉がこわばった緊張状態ではなく、自然体です。その自然な体勢でスムーズに弾き始めると、次の瞬間には一気に曲に没入していく。2000.3.17紀尾井ホール。 バイオリニスト竹澤恭子は「音楽も格闘技だ」とでもいうような演劇的な動作でバイオリンを操る。このバイオリンはとても良く響きピアノにも負けていない。楽器はストラディバリウスの「ハンマー」という名器だという。楽器も演奏家も舞台の上で聴衆の耳目を一身に引き寄せる不思議な「気」を放つ千両役者でした。2000.10.3タケミツメモリアル1階6列11。 このコンサートの中で唯一暗譜で弾いたのが、無伴奏のバッハのシャコンヌ。聴衆の眼を惹き付けて止まないこの演奏家の姿が、この曲では不思議に視野から消えた。つまりそこにあるのはいわば音楽だけだった。竹澤の動きも少なくなり艶やかな音の流れだけがホールを満たしていった。聴衆とホールと演奏家が一つになった瞬間。