今年は雪の冬になりそうです。雪景で思い出すのは、東海道五十三次の浮世絵の中でも名高い「蒲原」。戸を閉ざした家並が雪景に沈み込み深閑とした空気が伝わって来ます。ところが蒲原は温暖でまず雪が降ることは無い上、広重がここを通ったのは夏も盛りの七月だったという。つまり眼前の風景を透して美しい画幅にイメージを転化させたということです。素晴らしい想像力。それとともにイメージを純化させる雪の力。
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首都圏は三年ぶりの大雪。ある俳人は、降る雪に「明治は遠くなりにけり」と感じたようですが、平成の現在、雪を見て感じるのは「日本には四季がある」ということです。雪月花の言葉があるように歳事記を見ても「雪」にまつわる季語は多い。普段意識していなくても雪は日本人の感性につよく働きかけてくるようです。 |
白一色の風景の中で雪掻きをしている人影が動いているのが小さく点景のように見えている。普段は人間や人工物しか見えてこない首都圏で、雪景色の時だけは、「自然に比べて人の存在がとても小さい」という感じを持ちます。
スケッチは自然の力をイメージしたもの。 |
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